き み と
*******



「蒼井ー、行こーぜー。」


「おー。」





誰もが浮き足立つ学校祭。

まさに今日がその日だった。



俺たちのクラスはお化け屋敷。

基本的に1、2年はクラス制作、
3年は飲食店と決まっている。

先輩のクラスは
教室内で喫茶店をやるらしい。



今はお化け番が終わって暇だから
亮太と校内を回ることにした。



「俺さ、まず部活の先輩たちのとこ行きたいんだけど!」


「ん、いーよ。」


「じゃあまず中は…3Bと…3E……かな。」


「そこ、何やってんの?」


「焼きうどんとパフェ!」


「へぇ、おっけ。」


「あと、3Aも行くだろ?」


「…へ?」



「お前、すっげー柊さんのとこ行きたそうな顔してる。」



「…ゔ。」



亮太とはあんまりそういう話をしないから、
いきなり振られると
何だか恥ずかしくなる。



「何照れてんだよ、今更。こっちが恥ずかしーわ。」


「あー…うん…。俺行ったら先輩……嫌じゃねーかな…。」


「付き合ってんだろ?嬉しいんじゃね?」


「…かなー…。」



階段を上りながらふと、
亮太が訊いてきた。



「つーかまだお前先輩って呼んでんの?」


「あー…おう。」


「何で?」


「何でって………何と…なく?」


「ふーん。ま、いっか。お前幸せそうだしな。」



俺……そんなに幸せそう、なのか?




少し嬉しくて

少し寂しいような

そんな変な気持ちが沸いてきて


少し、足を止める。



「何やってんだよ、行くぞ。」


「――…あ、ああ。」





亮太に促されて、
俺は少し急いで階段を上った。





3Bと3Eはまあまあ人が入っていて、
盛況のようだった。


亮太は先輩にいじられつつ

買わされつつ、手伝わされつつ…

まあ、面倒くさがってる割には
楽しそうだった。
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