き み と
****



最近 彼が 変。




地に 足が着いていないみたいに




よく ぼーっとしている。





寂しい 顔をする。



困った 顔をする。





すごく 愛しい 顔をする。






不謹慎だけど





一瞬見せた その顔を






私は 可愛いと思ってしまった。







彼 が 大切に なりすぎて






私は もう どうしようも ない。








いい…のか………な?




―――――*



「ねぇトイレ寄っていいかな?」




ある日の 2時間目の 休み時間。


次の時間は 生物。



生物実験室に移動するために

私 と 遥香ちゃんは
2階の廊下を歩いていた。




「うん。」




生物室は2階にあって
トイレは 1年生用のものを
使わなければならなかった。



「ちょっと待っててねー。」



遙香ちゃんに言われて
洗面台の鏡の前で一人で待つ。

その隣に 1年生の学年章をつけた
女子が 2人いた。





なんだか 視線を感じる。





私は 目を合わせないように 俯く。




「柊先輩、ですよね。」




強い声が 私を呼んだ。



驚いて 横を向くと

私より少し 背の高い女の子。




「………はい…?」
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