き み と

「私…ため息ばっかりついてる潮なんか…見たくない。」





目いっぱいに 涙を ためる 彼女。







そっか………。








私が いなかったら



きっと 彼は




悲しむことも


困ることも




悩むことも ない。







そっか………………





やっぱり








私じゃ だめ なんだ。






「だから、潮と別れてください。」


















「……………はい………。」














もう 何も考えたく なくて





教科書を持ったまま

遥香ちゃんを 置いて







その場から 走り出した。
















居場所が ない。











「…なくなっ………ちゃっ………た……。」










自然と 涙が 出なかった。











そのかわりに




心に 大きな 大きな 穴が








ぽっかり 空いた。
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