き み と

「保健室行ってきます!」



次の瞬間に俺はそう叫んで
教室を飛び出していた。




先輩が独りで泣いている気がして。







そしてそれは



同時に俺の願望だった。


俺を求めていてほしい。




普通なら授業を受けている時間。








だけど、きっとどこかにいる。







俺は走った。





途中で先生に会っても気にせずに。






屋上






保健室






特別教室





廊下






思い当たるところを全部探したけど





先輩はいない。







もう行くところが無くなって




俺は玄関を目指す。





もう……帰った…か…?













そう思って歩いていた時






俺は1つの小さな影を視界に認める。










「………先輩………。」
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