き み と
「変わったなぁ、って。良い意味でね。だから私は陽奈のお手伝いをしてあげるの。」
まっすぐ、俺の目を見る。
「あの子が変わったのは、絶対あなたのおかげだから。お節介かもしれないけど…陽奈のこと、よろしくね。」
「はい!」
俺は遥香さんの期待に
応えるかのように返事をする。
すると彼女は満足した様に
笑顔で"よし!"と言って、
俺の前から立ち去ろうと歩き出した―――
「そう!」
ら、いきなり振り返った。
「アオイ君に良いこと教えてあげる!」
丁度よく鳴ったチャイムが
昼休みの終わりを告げる。
―――――*
遥香さんと話してから一週間。
彼女のお陰で、
覚悟をしていた気持ちが軽くなって、
俺は普通通りに毎日を過ごしていた。
授業適当に受けて
昼飯食って
放課後に友達とゲーセン行って
でも片時も先輩を忘れたことはなかった。
本当は見舞いに行こうかとも思ったけど
俺は待っている、と言った身。
早く先輩が学校に来るのを
願っているしかない。
そしてその願いは
翌日に通じることになる。
―――――*
「あ、アオイ君だ。」
「ども。」
遥香さんとは一週間の内に
2回くらいこうして廊下ですれ違って、
挨拶をしていた。
「移動教室ですか?」
「うん。生物の帰り。……あ、今ねー、陽奈が―――。」
彼女がそう言い掛けた時だった。
「遥香ちゃん、おまた、せ―――」
遥香さんの後ろの角から小走りで出てきた
小さい影。