き み と

―――入学式。


受験の時には余裕がなかった。

だから、気持ち的には初めての学校。



新しい制服。

新しい友達。

新しい環境。




単純な俺は、自由になるのが

楽しくて

嬉しくて

全てが冒険で




単純だった。





学校の玄関も、
受験の時とは違う場所に見える。


新入生の雑踏の中、
一回、周りを見回した。







どくん








……驚いた、凄く。








そこにあったのは

俺を 見つめる 一枚の

大きい、 大きい絵。









青くて、蒼くて、深い。





――足が、震えた。








それを上から下まで、ゆっくり眺める。




絵の下に貼られている、名札。








" ひとり "

2年A組 柊 陽奈






よう…な…さん?








動くのを忘れていた。
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