き み と

「私、潮のこと、中学の時から好きなの。」



「……俺!?」



いきなりのことに
俺は驚くことしかできない。

…でもよく考えてみれば
亮太がそんなことを言っていたような
言っていなかったような…。



「私、辛そうな潮…見たくないのね…?」




「……うん。」






そう言うと、少し黙って
目から大粒の涙をこぼし始めた。





「潮は……笑ってれば……いいよう…。」




「…うん。」




「柊さん…私の……せい…で…。」





「……そんなこと…ない。」




「ある…。私が余計なこと…言わなきゃ……。」




彼女が言う前に、
俺は亜美の態度で、
"先輩に亜美が何か言った"
という確信があった。




気づいた時は亜美を責めようともした。




だけど今は


今、この状況にあるのは
全部俺の責任だと思っている。




「ううん。いいんだ、うん。」





すると亜美はゆっくりと足を進め、

俯いたまま俺の肩に頭を埋めた。





「……ごめん………少しだけ………。」





ここで突き放すつもりはない。



亜美は言わなくても



ちゃんと俺の答えをわかっている。





だから、俺はその頭に手を乗せた。





「…ごめんな…亜美……。」




亜美は首を振る。






ごめん、亜美。




俺がこんなんだから


お前も悩んだんだな。





本当に、俺は、どうしようもない…な。





「………うん!ごめん!」




ほんの少し、ほんの一瞬、
さっきの体勢をしただけで、

亜美はすぐ顔を上げて
俺から少し距離をとった。




「んー!…さ、戻ろう。」




彼女は伸びをしてから
俺に背中を向けて歩き出す。
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