き み と

もう 彼がいないと だめだから



どうしても どうしても



怖くて 怖くて




向き合うことが できない。






「まぁゆっくり考えなよ、ね。」





もう一度 頷く。







「ありがとう…遥香ちゃん…。」


「いーえ。」




ふと 思い浮かぶ こと。




「遥香ちゃんは、好きな人、いないの?」




「いるよ。」



「ええっ!……ごほっ……ごほっ…」



あまりにも サラッ と言うから
驚いて 卵焼きをのどに詰まらせた。



「あはは!大丈夫ー?」



笑いながら 背中をさする



「ごほっ…けほっ………うぅ……」



「そんなに驚くこと?」



「うんっ…!」




聞いたこと 無かった。



「誰にも言ってないからねー。…いや、陽奈には言おうと思ってたんだけど…タイミングが……ね?」



遥香ちゃんを 責める気は ない。



「教えるから…耳貸して?」


言われるがままに聞き耳を立てると

遥香ちゃんの口から
一人の 男の人の 名前が 聞こえる。




「ええっい゛………っっ!」



今度は 舌を 噛んだ。



「ちょっと陽奈っ…ぷっ…あははっ!」



遥香ちゃんは 声を上げて 笑う。




「〜〜〜〜!」



涙目で 混乱する 頭を

必死に 落ち着ける。




呼吸を 正すと
ちゃんと私から 訊いた。



「………付き合ってる……の…?」


「あー…うん。」



「…そっ……かぁ……ふぇ…。」


「ふぇって何、ふぇって!」




まだ 頭の中が ぐちゃぐちゃで。
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