き み と

遥香ちゃんは

いつも見せる顔とは 違って

女の子の 顔を している。



「…女の子と…仲…良いよね…?」



「あー見えても、人気あるみたいだしね。」



「嫌じゃ…無いの?」



「嫌じゃない…わけ……ないじゃん。……でもね?」




遥香ちゃんは とびっきりの


今までで 一番の 笑顔を見せて。







「あの人の好きな人は、私だもん。」










その はっきりとした 言葉に






私は 何かが 吹っ切れた気がした。






「遥香ちゃん……かわいい。」



「ええ?…んもー……このっ!」


「やめてよっ!……あはっ…あははっ!」



遥香ちゃんは 私の脇を くすぐる



「陽奈の方がずっとかわいいよ。陽奈は、かわいい!」



そう言った 遥香ちゃんを見て

なんだか 可笑しくて 笑いたくて。



「私たち…何なんだろう…ねっ…?」


「ほんと…バカみたい!」






お腹の底から 笑い合った。





「ねぇ、陽奈?」




「ん?」



やっと笑い収まった 時。




「好きなだけで、いいんだよ。」





「……うん、ありがとう………遥香。」






私がそう呼ぶと


遥香ちゃんは 照れくさそうに する。





「なんか…変な感じ!」



「……もう……言わないっ。」




呼び捨ては 意外と 恥ずかしかった。




でも 何か 近い気分。






そして丁度 チャイムが 鳴る。





「頑張れ、陽奈!」




遥香ちゃんは また 笑った。
< 65 / 76 >

この作品をシェア

pagetop