き み と
―――――*




"次に先輩に会ったら"


そう 思っていた。


もし逃げられても、それでも。



―――――*


今週の掃除も今日で終わり。


面倒な渡り廊下も
来週は来なくていいんだ、と
浮かれていた。



「じゃあ蒼井と櫻井、ゴミ捨てよろしくー!」



そんな日に限って
ジャンケンに負けてゴミ捨てになる。


渡り廊下とゴミ捨て場は、
丁度校舎の反対に位置していた。



「俺行くから、お前帰っていいよ。」


このくらいのゴミなら持てるという意で、
決して"亜美と行きたくない"
と言う意味ではない。



「いいよ。あたしも行く。」


「おー。そうか。」






あの日から3日経つけど、

亜美は次の日から何事もなかったかのように
普通に俺と接してくれた。





それでも二人で歩いていると、
やっぱり沈黙になってしまう。




「………柊さんとは?」






それを破ったのは亜美だった。





「……何…も……。」



「そっかぁ〜…。」



「…うん。」





「もしかしたら柊さん、待ってるんじゃない?」




「……え?」





考えてもいないことだった。





今まで、待っているのは

俺の役目だと思っていたから。




「まぁ…本人にしか分からないことだけどね。」



「……そうだな。」





「これでもし、"ずーっと何もありませんでした"なんて言われたら…私、怒るからね?」




「…はい。」





亜美はいらずらっぽく笑うと、

俺の背中を力一杯叩く。



「いでっ!」


「ほら!しゃきっとしなさい!」



俺は亜美に笑いを返す。






すると亜美はいきなり足を止めた。



「………。」



そして黙って一点を見つめる。


「どうした?亜美。」
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