き み と
「よー蒼井。どうした、こんな所で。」
はっとする。
「あ…おう!何でもない!」
同中の 亮太(りょうた) が
俺の肩を叩いた。
立ち尽くす俺を不振に思ったのだろう。
「教室、行かないのか?」
「…ああ、行く。」
あの絵に心を残したまま、
俺たちは同じ教室へ向かった。
「そう言えば、桜井も同クラだったぞ。」
「ふーん。」
桜井亜美(さくらいあみ)は
同中で、気軽に話せる女子。
俺は2・3年のとき、同じクラスだった。
「あいつって絶対お前に気あるよな。」
「まっさかー。」
亮太の言葉が頭をすり抜けていく。
全部、もってかれた。
あの絵に、全部。
全部。