き み と
その言葉をどうとったのかわからないけど、
先輩は微動だにしない。
「…先輩………陽奈……と…離れてるなんて………もう無理。」
少しずつ、距離を近づける。
「陽奈のことが好きだ。他の誰かなんて考えられない。俺は陽奈しかだめだ………です。」
名前を呼ぶと無意識にタメ口になるのを
無理矢理戻した。
「だから、もう一度だけ、」
言いたかった 言葉
「俺と、付き合ってください。」
先輩からの返事は ない。
と 思っていると、
震える声が 目の前からする。
「……私…名前……知らなかった……。」
「俺が言ってなかったのが悪いんです。」
「無理………させて…た…?」
「俺が嫌われないように、勝手に一人で緊張してただけです。」
「……あの子…と……火曜日に……」
…見られてたの…か。
でも何も、隠す様なことはしていない。
「告られたけど振ったんです。俺は、陽奈以外考えられないから。」
そして いちばん細い声で
折れてしまいそうな体を振るわせて
目に涙をいっぱいに溜めて
振り向いた。
「私で…………………いいの?」