き み と
「どうしてあの絵、"うしお"って言う名前つけたの?」
俺が一番聞きたかった答えを待つ。
「……蒼い…海……だから……。」
「……そっか。ありがとう。」
見なくても先輩が
首を傾げているのが分かった。
「俺、潮って名前、嫌いだったんだ。…読み方変だし、意味わかんないし。」
先輩は俺の胸ら辺から
少し顔を上げて聞いてる。
「でも、あんなに綺麗なものだったんだなーって。…陽奈が、気づかせてくれた。」
俺は先輩をゆっくり体から離すと
しっかりと顔を向き合わせた。
「だから、ありがとう。」
そう言うと先輩は
何か言いたそうに俯く。
「どうしたの?」
「だってあれ………潮だもん……。」
「?…うん…"うしお"…。」
先輩は首を横に振った。
「違う……そうじゃ…なくて………………あれは…………」
みるみる顔が赤くなっているのが分かる。
「………私の中の………蒼井…潮……。」