甘いのくださいっ!*香澄編追加しました*
「坂下さん、お仕事ですよね?
私、一人で帰れますし、いいですよ。」


「ん?仕事?
ああ、もう終わったよ。
朝イチでね、お客さんの所に
サンプル持っていってただけだから。
急ぎでね。」


「そうなんですか……。」


「うん、仕事は午前中で終わり。
だから、これからデートしない?」


「デ、デートで、すか?」


「そっ。
折角、可愛い格好してるのに
このまま、帰るってことはないよ。
ねっ、楽しもう。」


と、
坂下さんは相変わらずの
王子様スマイルで言うけれど……。


「もしかしてサトルさん気にしてるの?
今日は一応、サトルさんとの
デートの日だったもんね。」


「いえ、別に……それは……。」


「なら、決まりっ!
と言っても車がないからなぁ。
まぁ、行ける範囲は決まっちゃうけど……でも、まずは腹ごしらえだね。
お腹空いたでしょ?」


そう言えば……
お腹空いてきたかも……


「はい、少し……。」


「じゃぁ、僕のお薦めのお店でいいかな?」


「はい、大丈夫です。」


「じゃ、行こっか。」


と言って、手を差し出す坂下さん。
どうしたらいいのか分からないでいると……


「参ったな……。
ここまで女の子に拒否られること
ないんだけどなぁ。」


「きょ、拒否ってるわけでは
ありませんっ。す、すいません。
なんか、こういうのも慣れてないので……。」


「はっはっは、そうなの?
じゃあ、遠慮なくガンガン行くよ。
免疫つけて貰わなきゃね。」


そういうと坂下さんは
私の手を取り歩き出した。


め、免疫って……。






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