甘いのくださいっ!*香澄編追加しました*
すっかり日も暮れて夕飯も
坂下さんお薦めのあまり知られていない
裏道にあるイタリアンのお店へと行った。


お薦めのカルボナーラを食べると
手作りのパスタがもっちもっちと
していて、ホワイトソースとも
上手く絡み合ってその味は最高だった。


坂下さんは今日は車じゃないからって
ワインを飲んでいたんだけど


店のオーナーとも古くからの
知り合いらしく、話も弾み
ワインは益々、進んでいた。













「ふぅ、お腹一杯。
とっても美味しかったですね。」


酔いざましに近くにあった公園で
少し座ることにした。


「でしょ?オーナーが商売気のない人でさ
あまり、あの店、知られてないんだよね。
だから、いつだって空いてるよ。
それでも昔の事を思えば口コミで
ちらほらとお客さんが増えたかな。」


「そうなんですか。」


「やっぱり、本物はどうしたって
広まっていくよね。
どういう形であってもさ。
旨いものは旨いんだよね。」


「はい、そうですね。
今日は色んなお店に行けて、
坂下さんの新しい一面も見れて
とても楽しかったです。
それに沢山、ご馳走になってしまって
すいません……。」


「いや、僕のほうこそ、楽しかった。
ユズさんとサトルさんには
悪いけど、僕はラッキーだった。
胡桃ちゃんと思いがけずデート出来て。」


そうだよね。
ユズさんが具合い悪くて
急遽、サトルさんとのデートが無くなって
なんだかちょっと複雑な心境だったんだけど
気づけばすっかり坂下さんとのデート
楽しんでいたな。


ユズさんには申し訳ないけれど……。


この前のドライブデートの時は
緊張しててあまり話せなかったけど
今日は色んなお店に行ったりして
話も沢山できたし、久しぶりに行った
駄菓子屋さんでは坂下さんとの距離が
ほんの少し縮まったかな。


なんて、ぼんやり考えていると


「胡桃ちゃん……。」


「ひゃっ////////」


隣に座る坂下さんに肩を
抱き寄せられた。









< 47 / 192 >

この作品をシェア

pagetop