幸せの神様。
一。

プロローグ

砂浜を海がどんどん食べているようだ。



歩きながら少年はそう思った。




満潮が近くなっている海に、近づいてはいけないよ?




母の言った言葉が一瞬、頭を掠める




だがその言葉は、波の音と共にさらわれていった。




ふと足を止めて見つめた先に、海に限りなく近い家が一軒。



「ルイ…」




少年の口から漏れた言葉は、大好きな少女の名だった。



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