幸せの神様。
「ね、知っとる?ここら猪出るとよ」



クルッと振り向いたルイはいたずらっ子のような笑顔を向けた



「じゃ、ルイを囮にして俺は逃げるよ」



微塵も思ってないくせに、冗談が自分の口からスラっと出たのに少し驚きながら、ルイを引き寄せた



「ヒドかね…」



クスクス笑って抱き締められているルイは温かくて



小さかった



カツンと何かが落ちて、月の光で照らされたそれは



俺があげた指輪だった



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