幸せの神様。
これは、過去のお話。



幸せな、そして悲しい前世のお話。





『バツとして、ルイおんぶして砂浜お散歩の刑!!』




「はいはい」




そう言って笑っている少年は、とても優しい目をして少女を見つめていた。




「でも、潮が満ちて来たから、引いてきたらね。」




『はーい』




少女は少しふてくされて、ひょこひょこしながら家へ入る。




少女の後に続く少年は、手を差し伸べる事もせずに、ゆっくり後ろをついて行く。




倒れそうになったら、支えてやろう




助けを求められたら、仕方ないなと言いながら助けてやろう。




今すぐにでも抱えあげたい衝動を抑えて後ろを歩く少年の手は、震えていた。
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