幸せの神様。
昨日、固まって何も言えなかった俺に、彼女はこう言った



「誰だか知らんけど、ヒルネが懐いた…良い人なんやね。」



「…」



「言葉が話せんと?」



違う…



ただ、声の出し方を忘れてしまった



体が動く事をやめてしまった



首を振る事も出来ずに、ただ見つめていると



「おまじないかけてやるけん、目瞑って」



そう言って、俺の瞼に手を乗せて上から下へ撫で下ろした



何をするのか分からなくて



ただ、自分の意志で閉じていない瞼に意識を集中させていた。


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