幸せの神様。
「ルイ…」



『ねぇ…凪ちゃん…』



「ん?」




『凪ちゃん…』




「なに?」




『手、握って?』




ぎゅっと握ったその手は氷のように冷たかった。




『ねぇ、凪ちゃん…凪ちゃんはどうして凪ちゃんって名前なの?』




「穏やかな海のような人間になるようにって、酔っ払った親父が言ってた」




『そっかぁ…ねぇ、凪ちゃん…凪ちゃんの生きる未来に私は存在しないんだね』



「…っ。」




『凪ちゃんは嘘がつけないもんねぇ…優しい、ね…』



声がだんだんと小さくなる少女。




少年の瞳には、少女の首にカマを構えた死神でも写っているんだろうか?




悲しい瞳を一時も少女からそらさない。

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