お前は独りなんかじゃない。
出逢い
私はもう耐えきれなくなった。
限界だったんだ。
中3の春だった。
なんとなく眉を剃り、化粧をし、
それがだんだんエスカレートして
違反の仕事にまで手をだしてた。
非行に走るしか逃げ道がなかった。
でもなぜか強くなれた気がした。
怒られるとわかっていてできないこと
今じゃこんなにできるから。
学校には徐々に行かなくなった。
胸元の開いた服や、短いスカート。
こんな服を着てあるけばあるく度に
よく男のひとに絡まれた。
家に帰りたくない私は最近夜中まで独
りで公園にいる。
今日は雨がふっているけど気にせずに
雨に濡れながらベンチでぼーっとして
いた。
「わざと濡れてんの?」
傘をさしてコンビニ袋を持っている
制服を着た男のひとに話をかけられた。
『別に、わざっとってわけじゃあ...』
「風邪ひくから家に帰らないと」
『もう...家には帰りたくないんです』
その人は少しの間だまっていた。
携帯を開いて
「もう10時なるぜ」
『そう...ですか』
家に帰らなきゃ...。
また殴られるのかもしれないけど
そうなったら家を出ればいいよね?
今の私ならできるもん!
『はぁ...』
どれだけ着飾っても、やっぱり強く
ねれてないのかも。
情けないため息ばっかり。
私はやっぱり変われてないみたい。
「お前そんなに帰りたくないの?」
私は軽くうなずいた。
また父親の顔が頭に浮かんでは消え
そんな私を見もしない家族の作り笑も
よそよそしい態度も
浮かんではすぐに消えた。
いつのまにか私の頬には涙が流れた。
「じゃあ俺の家来る?友達もいるし。
男ばっかりだけどさ」
『いいんですか??』
「お前がいいならいいけど」
『いきたいです!』
男の人は優しく笑って傘のなかに私
を入れてくれた。
家に向かっているときにいろいろ話を
した。
名前は優斗(ユウト)さん。
中学でやらかしてたらしく高校は工業
の定時をなんとか受かったらしい。
両親共に海外で働いててお金には困る
ことはないけど一人暮らしだから大変
みたい。
最初はろくに学校もいけなかったらしい
私なら一人暮らししても困らない。
家では食器洗い、洗濯、料理、片付け
買い物は私がほとんどしていたから。
母は怠け者ってわけぢゃないけど全て
私にさせていた。
勉強できない代わりに家のことは頑張
ろうと思っていたら大半のことはでき
るようになった。
勉強もそんなだったら私はどれだけ幸
せに生きてこれただろう。
気がつくと涙が一筋こぼれていた。
急いで涙を拭った。
優斗さんのマンションに着くと
「はい、どーぞ」
とドアを開けててくれた。
中は広くて綺麗に片付いていた。
「名前聞くの忘れてた(笑)名前なに?」
『優希です』
「優希か、よろしくね」
『はい!』
私は笑顔で答えた。
優斗さんはいい人だってわかった。
この人にだったら心を開けそう。
「みんなあっちの部屋にいるから
そっち行ってて」
『雄斗さんは来ないんですか??』
「あぁ(笑)俺は濡れてるから風呂入って
着替えてから来るよ」
『わかりました』
「じゃ先行ってきてー」
『はーいっ』
後ろを振り返ると優斗さんの後ろ姿が
あった。
よく見ると右肩だけが異常に濡れてて
制服のワイシャツが透けていた。
ーーーあっ
私が濡れないように、傘から半分出てて
右だけぬれてるんだ。
何も言わずに...やっぱり優しいなぁ。
あ、部屋に行かなきゃ。
指をさされた部屋に入った。
数名の男の子人がいた。
『え、えぇと....』
「あ、適当すわっていいよ」
『はい』
私はベットの上に座った。
すると男のひとが隣にくっついてきた。
近すぎるでしょ。
初対面なのに近すぎるでしょ、ね?w
「ねぇ。名前なんてゆーの?」
『優希です』
「可愛い名前だねー」
『そうでもないです、普通です」
「優斗の女?」
優斗の女って彼女かって聞いてる?
いまさっき会ったひとの彼女なわけな...
「ええ!?図星かよ!?」
『え!?ち、違いますよ!!』
「え、なーんだ。」
『いまさき会ったばっかりですし』
「ふーん。あの優斗が女の子をねぇ?」
な、なにその目は。
不思議そうにわたしを見つめている。
「もしかしてお持ち帰りかなぁ!?」
『えっ!?』
ど、ど、どーゆこと!?
お持ち帰りってアレ。あの...そんなぁ!?
「んなわけないだろ、優斗に限って。」
横で話を聞いていたひとが笑った。
「だよなぁ。ふーん。」
私は愛想笑いをした。
んんんん?なんか寒い気がする
エアコンついてる!5月なのに...。
「俺は秀飛(シュウト)。よろしくね」
『あ。はい』
やばい、寒い。
エアコン消せばいいのに!!
みんな普通にワイワイ騒いでるよっ。
『くしゅん...っ』
くしゃみが出た。やっぱり寒い。
いつからこんな寒がりなったっけ??
「なに?優希ちゃん寒いの?」
『あ、はい...くしゅんっ』
「ん〜〜っとねぇ」
なにか考えながらニヤニヤしている。
秀飛さんって変なひと。
ーーー??????
なんか暖かい?てゆうか...
はあ?ええええええええええええ!?
「そんな驚く顔して可愛いー」
秀飛さんが抱きついている。
どうゆうこと?離れてもらおう....
『あの...「ジュース買いにいこ?」
『え?』
「優希ちゃんとジュース買って来る〜」
他にいたひとが「あーい」と適当に
返事をする。
秀飛さんが私の腕を引っ張って行く。
ジュースくらいひとりで買いにいけば
いいのにな...。
え?玄関を通りすぎてる!
リビングを越えていちばん奥の部屋に
連れていかれた。
『はなして...くだ...いっ!』
私は力の強さのあまりに動けない。
怖い、怖い、怖い。
ベットに押し倒された。
『い...いやぁ....はなし...って!」
「無理。優希ちゃんさ雨に濡れてブラ
透けてるし谷間みえるしさ〜」
『はなして...っ!きゃあ...』
「離さないよ?誘ってるよね?絶対。」
『きゃあーーー!!』
私は助けを求めた。
頭には優斗さんの顔が浮かんだ。
「ここ防音なんだよね〜
俺と優斗が中学んときに楽器してて
よく練習したっけー?」
怖いよ。怖いよ。
ーーー!!!!!!
『ん...んんっ...やめ...ん...』
無理矢理されているキス。
なにか温かいものが口に入ってくる。
ーーー舌だ。
舌が口の中をかき混ぜて変な気分にな
ってきた。おかしくなりそう...
「次は脱がしちゃおーかな?」
私は怖すぎて声も出ない。
洋服は脱がされ、ブラだけになった。
そして強引に胸を揉まれる。
ーーー優斗さん...助けて。
ばんっ。
と急にドアが開いた。
どんっ。
秀飛さんの手が私の胸から離れた。
「いってぇー!」
そこには優斗さんが居た。
秀飛さんを殴ったらしく秀飛さんの手は
殴らて赤く腫れている頬を抑えていた。
「嫌がってるだろ?やめとけって」
秀飛さんが立ち上がり
軽く笑いながら優斗さんを睨んだ。
「やっぱりお前の女かよ」
「ちげぇよ」
「は?優斗。お前もヤりたいの?」
「黙れ、なわけねぇだろ」
「じゃあ止めんじゃねぇよ!」
「無理矢理やって意味あるのか?」
優斗さんは私の知っている顔じゃない。
あの優しく大人っぽい笑顔は
いったいどこへ消えたのだろう....
でも嫌な気にはならなかった。
優斗さんは私を守ってくれている。
「...はぁーつまんねぇの」
秀飛さんは顔をパンパンっと軽く叩き
立ち上がった。
「俺、もう帰るわ!じゃーな」
優斗さんの返事も聞かずに早足で部屋
を出て行った。
すると涙が流れだしてきた。
『くしゅん...っ』
半裸の私は寒くて
こんなときでもくしゃみをしていた。
「...はぁ。」
優斗さんが私に近ずいて来た。
さっと白いTシャツを脱いで
私の首を通し着せてくれた。
そして泣いている私を強く抱きしめて
くれた。
『ゆう...と...さん?』
「なんだよ」
『わ...わたし、こ、こわかっ...た。』
抱きしめる腕に力が入った。
優斗さんは私の耳元で呟く。
「わかってる、もう大丈夫だから。」
恐怖と不安がふわっと消えて行った。
私は声を出して泣いていた。
「もう泣くなよ」
『うあぁ...んっ...ひっぐ...』
「先に部屋にいかせて悪かったな」
そういって優斗さんは私の頭を
優しく撫でてくれた。
嬉しかった。心が暖かくなった。
幸せな気分に包まれていた。
「お前濡れてる...雨に濡れてたもんな」
ーーーあ。
そのことすっかり忘れてた。
だからあんなに寒かったんだ。
「風呂入ってくれば?」
優斗さんは私の腕を触り
「着替えは俺の服わたすからさ?
風邪ひくぜ。体、すげぇ冷えてるし」
『はい...』