幸せの天秤
「なら、片瀬さんならどんなのを作るんですか」

桐谷班の子が聞かれる。


あたしは依頼書類に目を通す。


依頼者は、2階建ての喫茶店のデザインをご希望。

・女の人が1人でも入りやすくて

・ママ会でも使えるように、キッズスペースも欲しい

・お店自体が建物に囲われているから、光を入れたい

・オシャレなお店にしたい



2人のデザインは、確かにどの要望も入っているデザインだ。

桐谷さんのは光を入れるためにガラス張りにしてるため外からは丸見え、
彼のはキッズスペース1階に置いたため、席が少なくなってしまっている。



あたしは手帳を開き、お店のデザインを書き出す。

2階建てなんだから光を上から入れればいい。

天井自体をガラス張りし、2階のスペースは狭くなるが
1人で来店するなら席自体は2人掛けのテーブルでも十分なはず。

1階にキッズスペースを置き、それを囲むようにカウンターテーブルを置けば、
子供が遊んでるの見ながら、ママ会だって出来る。


オシャレを入れたいなら、階段を螺旋階段にして、
上からの光を遮らないように手すり以外は透明にしよう。

カウンターは、白を基調として、アンティーク風にデザインすれば、
子供が居るからと言って、ファミレスっぽくならなくていい。



あたしは下書きしたデザインを部長に渡す。



「お店だからって中が見え無くてはいけない訳じゃないしな。
上からっていうのは、面白いな。螺旋階段を透明にするか、
相変わらず個性的なデザインだな」


部長は自分が見終わると、見せる。




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