幸せの天秤
電話の相手はこないだ、手掛けたクライアントからだった。


「もしもし」

「レンリさん、こないだ書いていただいたデザインなんですけど」


デザインがどうかしたのだろうか?

こないだ、見せたときは喜んでいたが、、、。


「デザインがどうかしましたか?」

「ということは、まだ知らないようですね」

クライアントが何を言いたいのかわからない。

電話越しにわかることは、相手が怒っているということくらい。


「何かのコンクールでグランプリを取ったデザインと、
レンリさんが書いたデザインが同じなんですよ」

「え?」

頭の中が真っ白になった。

その後、クライアントが何か言っていたが全く頭に入ってこない。



「あなたにはがっかりしました」


電話を切る際に言われた言葉が胸が抉られたようだった。


クライアントはあたしが盗作したと思っているようだった。

あのデザインには、あたしだって手ごたえがあった。

なのに、盗作だなんて、、、、あたしはしていない。


あたしはまだ、働かない頭で東条さんのところに向った。


「レンリ、遅かったわね」(英語)

部署に入ると、マリアが声を掛けてきたが
そのままスルーして空いてるデスクに座り、
パソコンで最近あったコンクールを調べる。

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