幸せの天秤
マリアや東条さんから何度も連絡が来たが、電話には一切出ていない。

祐太くんともあの日以来、会っても居ない。



何処で調べたのか、携帯に記者の人からの電話がじゃんじゃん来る。

TVや新聞のおかげで有名人になってしまい、外すら出れない。

あたしは次第に追い込まれていた。

飲まなくなった、発作の薬にも手を出すようになっていた。




あたしは、この業界から逃げ出した。

誰も知らない所で、ひっそり暮らそう。



引っ越す前にマリアや東条さんにメールを送る。

「いろいろ、お世話になりました」


直接会って、ちゃんと言わなきゃいけない2人なのに
そんな簡単な言葉で済ませた。


祐太くんには、

「短い間だったけど、本当にありがとう。自分勝手でごめんなさい。
祐太くんが手掛けた作品を楽しみにしています」


と、別れ告げた。


家も事務所も、携帯も整理を付け、あたしは逃げるように姿を消した。

誰にも連絡先を教えずに、、、。



あたしはまた、あおからだけじゃなく
マリアからも、東条さんからも、
そして、祐太くんからも逃げ出した、、、、。
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