幸せの天秤
相当大切なものなんだろう。

「あぁ、、、!とりあえず上がって」

玄関で彼に返せばよかったのだが、あたしは彼のに勝手に手直しをしてしまった。

あれを消さなくては、、、。


彼はあたしに言われるまま、部屋に上がる。


「ごめんなさい。あたし、勝手に落書きしちゃって。
すぐに消すから、ちょっと待って貰っていいかな?」


あたしが消そうとした用紙を彼は奪う。


「これ」

「すぐに、、、」

「デザイン書いたことあるんですか?」


彼はそうあたしに聞く。

「趣味程度だけど」

「これ、凄いです」

彼は目を輝かせる。

下に落ちていたデザインも手に取り、マジマジと見出す。


「ホントにただの落書きだから」

あたしはデザインを取り替えそうとするが、彼に阻止される。


「これなら、十分使えますよ。てか、凄いですよ」

彼はあたしのデザインを気に入ったのか、一向に返そうとしない。




「もしかして、こっちの業界の人?」

「、、、ッ違う」


あたしはマリアや東条さん達とは違う。


「勿体無いよ。こんなに良いデザイン書けるのに。
俺にはこんなデザインなんて書けないから」

「同じデザインなんて、つまらないよ」

「それ、部長にも言われた」


彼は笑う。

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