幸せの天秤
本当に変な子。

ズケズケ人の中に入ってくる、、、。

でも、嫌じゃなかった。

それは彼が持つ力なんだろう。


「俺らって、運命だよね?」

なんて真面目に聞いてくる。

「運命?」

「だって、偶然レンリの部屋の前で酔いつぶれて、
そんな俺を、レンリが部屋まで上げてくれて、
そしたら偶然、レンリの部屋に書類忘れて、
部屋に取りに来たら、レンリがデザイン書いてて。
それが、全部凄いデザインで、、、心奪われた。
だから、俺らは運命の相手なんだよ。
偶然が何回も重なったら運命って、俺は思う」

何処にそんな自信があるのかわからないが自信満々に言う。

まぁ、計画的やられてたら嫌だけど。


「ってことで、俺にデザイン教えて下さい」

「なんで、そうなるの?」

「だってレンリのデザイン、凄いから」

彼はもう決まってるかのように、当たり前に言う。


「ダメですか?」

なんて言われたら、断れない。

「あたし、凄い人間じゃないよ?」

「良いんです。俺はレンリのこと凄い人間だって思うから」



この時、涼己が言う運命をあたしは信じてなんかいなかった。

でも、運命って本当あるのかもしれない。

だって、涼己との出会いがこんなどん底にいたあたしを変えてくれたから。

今ならわかるよ、、、。
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