幸せの天秤
涼己は明日も仕事なので、10時くらいには自分の部屋へと戻って行った。

あたしは、卓真から依頼されたデザインを書く。

そのデザインが完成した頃には12時を回っていた。

あたしは悩んだが、完成したことが嬉しくて、卓真に電話する。


「なんだよ」

用があるから電話してるのに、そんなことを言われる。


「あたしの声、聞きたくなったかな~って」

「うわ、イタズラ電話かよ」

「ちょ、ちょっと、酷くない?」

電話越しにゲラゲラと笑っている。


「はぁ~、ウケる。で、なんだよ」

「出来た、、、デザイン」

「仕事が早いことで」

「あたし、、、やっぱり好きみたい、この仕事」

「今更かよ」

卓真は知ってたかのように言う。


「さっきね、客に電話したんだ。でもみんなあっさりで、
あたしの4年ってなんだったんだろうって思っちゃった」

「そうか」

「中身がなかった4年だったことは、
自分でもわかってる、、、。
けどあたし、仕事してた時よりも、結構頑張ってたつもりだったんだよね」


卓真の前じゃ、弱くなる。

あっさり縁が切れてよかったってことはわかってる。

でも、誰か1人でも止めて欲しかった。

あたしの存在を認めて欲しかった。




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