幸せの天秤
声がした方を見ると、東条さんがいる。

「東条さん」

「あれ?2人共、知り合いなんですか?」

何も知らない涼己が聞いてくる。

あのパーティーの日から会うのは初めてで、少し気まずい。


「うん」

「そうだったんだ。部長に紹介したかった人ってレンリなんですよ」

あたしは何の話をしているのか、よくわからない。


「じゃ、あのデザインを手伝ったのってレンリのことだったのか」

それを聞いて、話を少しだけ理解する。


「部外者なのに勝手に口出して、すいませんでした」

「いや、桜庭の良いところを引き出してある作品だった。
、、、、、、また書いてるのか?」

「また、書いてみようと思ってます」

東条さんは嬉しそうに笑う。


「そうか。マリアに連絡してやれ。あいつが一番、お前のこと心配してる。
来週にはアメリカに戻るから、それまでに会ってちゃんと話し合え」

「レンリ、マリア・ブラウンとも知り合いなの?」

涼己もマリアのことを知ってるようだ。


「桜庭、お前いいから先に取引先に行け」

東条さんに言われ、涼己は歩いて行った。



「東条さん。あの、、、もう、謝らないでください。
あたしの管理が甘かったのが、イケなかったんです」

東条さんは何も悪くない。

だから、もう自分のことを責めないで、、、。


卓真も言ってた、誰も悪くないって。

「あぁ。俺もそろそろ行かねぇと」

「東条さんとマリアには負けませんから」

東条さんは「楽しみにしてる」と、言い、桜庭の後を追った。


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