幸せの天秤
あたしは東条さん達と別れ、プラッと中を見たが特に欲しいものが見付からず
店から出て、近くの喫茶店に入る。

そこは初めてあたしが、日本でデザインした喫茶店。

店内は家族連れ、女性客で店内が賑わっている。

あたしはホットミルクティを注文し、トレイを持って2階の席に座った。


完成した時見たのと、営業中にこうやって見るのは違う。

あそこはもう少し、こうした方が使いやすいかったとか、ここはあれでよかったとか所々目につく。

あの時のあたしのベストで書いたデザイン。

それでも時が経ち、価値観が変われば、またデザインも変わる。

今のあたしが書いたら、どんなデザインになるだろう、、、。


マリアなら、、、自然にマリアと比べてる。

あたしの中で、デザインの根本はマリアなんだと気付かされる。


マリア、、、。

あたしはマリアから受け取った名刺を手に取る。


昔と変わらない番号。

ただ、番号を打つだけでも緊張する。

通話ボタンを押すのに凄くが時間がかかった。


やたらと電話のコール音が耳に響く。


「もしもし」(英語)

忘れることなんてない、マリアの声。


「、、、、久しぶり」(英語)

何を言えばいいのかわからず、そんな言葉を口にする。


「、、、レ、ンリ」(英語)

マリアの声が震えてるのが、わかる。

マリアはあたしなんかのことも、凄く心配してくれたのだろう。

< 158 / 249 >

この作品をシェア

pagetop