幸せの天秤
彼は父親の言葉を聞いて、動揺している。


「どうゆうことだよ」

「そのままの意味だ。春樹もレンリも母親は同じだ。
母さんは子供が産めない人だったからな」


彼からしたら、ずっと母親だと思ってた人が違ったんだ。

だからこんなにも、取り乱しているんだ。



あたしも不倫の子供だって知らされたのに、何故だろう。

自分には関係ない話をしているようにしか見えない。



「知ってたのかよ」

彼はあたしを睨み付けてくる。


「今、知った」

きっと彼は自分の方があたしより立場が上だと思っていたのだろう。


「驚かないのかよ」

「あたしには、親なんて始めからいなかった」

そう、思って今まで生きてきた。


家族なんていなかった。

あの人から、親らしいことをしてもらったことなんてなった。



今の話を聞いて、その理由がわかった。

あたしはあの人にとって、この人、、、父親を
繋ぎ止めるだけの道具にしか過ぎなかったんだ。




「なんで、今更あたしを探したりなんかしたの」

「家族だからな。みんな、仲良く暮らしたいだろう」


良い人みたいなことを口にする、この人も子供なんだと思っているのだろうか。


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