幸せの天秤
「今更、家族ごっこなんかしてどうするんですか」

もう、彼もあたしもいい大人だ。


「良いだけ、好き勝手生きてきたんだ。少しくらい親孝行ぐらいしてくれてもいいだろ」

親孝行?

あなたはいつ、あたしに親らしいことをしてくれたと言うんだろう。

好き勝手生きてきた、、、って、全部あなたがやったことなのに傲慢すぎる。



「親父。お袋が死んで可笑しくなったのか。俺は彼女と住む気は更々ないからな」

彼はそう言うと、部屋を出て行く。



「全く。誰のおかげで、ここまで大きくなったと思ってるんだ、あいつは」

「あたしも彼と同じ意見です」


あたしだって、一緒に暮らす気なんて更々ない。


「お前も逆らうのか」

さっきまで穏やかだった、顔つきが変わる。


「俺が何も知らないとでも思ってるのか。良いんだぞ、公にしても」

勝ち誇ったような顔で、あたしを見る。







あぁ、そうゆうことか、、、、。


あたしが見つけたヒカリは、こんなにも簡単に消えてしまうんだ。



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