幸せの天秤
呆れたような目をされる。

「お前、俺の言いたいことわかるよな」

「なんとなく」


まさか、部長にあたしがこう言われる日が来るとは、
アメリカに居た頃には考えもしなかった。


「相当、暇だったようだな」


「ちょっと、時間が余って」


あたしはもうタジタジだ。

誘導自問とは、こういうことを言うのだろうか。


「へぇ~。デザイン書いたらしいな」


「ダメだったですかね、、、?マリアからお願いされて」


やると言ったのはあたしだが、この際マリアのせいにしておこう。

あたしは笑顔で誤魔化そうとしたが、部長には聞かないようだ。


東条部長は盛大にため息を着き、大量の書類をあたしに渡す。



「なんですか、これ」

訳がわからず、聞く。


「お前への依頼だ。会社の上の奴らが、
レンリ・アオヤマがうちの会社に移動したのを公表したら、大量に来たそうだ」


中を見て見ると、確かに依頼書のようだ。


「部長、片瀬さんと苗字違うじゃないですか」


桐谷さんが間に入ってくれる。


あたしが青山だったと知ってるのは、日本でも会社でも彼だけだ。


「親の離婚で姓が変わったんです」


親が離婚していることは、嘘じゃない。



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