幸せの天秤

ここに来て、初めてドアの鍵が開け放たれている。

始めの頃はどうやって逃げ出そうかと悩んだことも合ったのに、
この部屋を出る

ことすら今のあたしには難しいほど、体力がない。

でも、やっとここから出れる。

あたしは鞄を引きずるように持って、外に出た。


地下に居たせいで、外が眩しく感じる。


あたしはこれから、何処に向かえばいいの？

わからない、、、。




タクシーを拾おうと思い、大通りに向かって歩く。

だけど、急に動いたせいか目眩がする。

心臓の音もやけに耳に響く。


パッと視界が真っ暗になって、体が動かなかなくなる。






目が覚めた時、あたしは知らない部屋にいた。

白い天井、腕でには点滴、、、病院？



「トントン」っと、ノックの後に、ナース服を来た人が入ってくる。

それで、ここは病院なのだと納得した。


「片瀬さん、今先生呼びますから」

看護師さんが、病室を出ていく。

少して、さっきの看護師さんと先生が入ってくる。


「気分はどうですか？」

先生は聞くので、首を振る。

「そう。なら、順調だね。君、一週間も寝てたんだよ」

「一週間？どうして、あたしはここに？」


何も覚えていない。

「道端で、倒れたんだよ」

あたしは何処に行こうとしていたのだろう。

「、、そうだったんですか」

「君、、僕のこと覚えてる？」


彼に聞かれて、彼の顔を見るが覚えていない。

「あの、何処かで会ったことありましたっけ？」

「いや。君、自分の名前わかる？」

「片瀬レンリ」

彼は当たり前のことを聞いてくる。

「年は？」

「32です」

「仕事は？」

仕事と聞かれて、、、答えられない。

あたしは、何の仕事をしていたのだろう。

思い出そうとするほど、わからない。

あたしは頭を抱え込む。

「無理に思い出さなくていい」


あたしがあたしじゃないみたい。

あたしは誰だったの？

今までどうやて、生きてきたの？


、、、わからない。