幸せの天秤
「そういえば、何人かお見舞いに来てたよ」

「あたしに?」

「そう、君に」

あたしのところに、わざわざお見舞いに来るような知り合いなんかいない、、、はず。

あたしが忘れているだけなの?


「思い当たる人がいません」

「そうか。でも会ってみたら、何か思い出すきっかけになるかもしれないよ」

きっかけ、、、。


「でも、あたしにとって知らない人だったら、、」

一緒にいて何を話せばいいか、わからない。

「無理強いはできない。だけど、君のことをすごく心配していた」

心配、、、?

あたしのことを、、、?


「どうゆう人達なんですか?」

「う~ん。俺の知り合いではないから、俺がどうこう言えない。
でも俺が知ってる君は、彼らを大切な仲間だと思っていたと思うよ」


あたしにもそういう人達がいたんだ。


「あの、、、その人たちに会う時、先生もいてくれますか?」


「君がそれを望むならそうしよう。「君が目を覚ましたら、連絡をくれ」と言われている。
彼らに連絡してもいい?」


あたしはまだ、迷っている、、、。

あたしの記憶の中に、知ってる人間がいない、、、。



でも、このままじゃいけないのはなんとなく自分でもわかる。

なら、会ってみよう、、、少しでも、何かが変わるなら、、、。
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