幸せの天秤
誰も口を開かない。

3人とも、あたしのことを驚いた顔をして見てくる。

女の人は目に涙が溜まっている。

「、、、レンリ」(英語)

声が震えている。

あたしのせいで、彼女が泣いている。

それなのに、あたしは彼女のことが、、、わからない。


「レンリ、、、あんまり心配かけるなよ」

なんて、無理に笑って言う男。

「、、、、ごめんなさい」

普通ここは、謝っておくべきだろう。

もう1人の男の人はあたしをジッと見る。

何なのこの人、、、そんなに見ないで欲しい。




「どう?」

先生はあたしに聞く。

先生が聞いた、どうって、彼らを知ってるいるかということ。

あたしは首を横に振る。

先生は「まぁ、ゆっくり思い出していこう」なんて言う。

ゆっくり、、、って、あたしは本当に思い出せるの?。


「とりあえず、ご飯食べろ。彼らと少し話して来る」

先生は彼らと一緒に病室を出ていった。


テーブルには、ご飯が上がっている。

でも、食べたいという気が起きない。



あたし、、、、いつからご飯食べなくなったんだろう。

そんなことも思い出せないなんて、あたしは変なのかな?

自分で自分が怖くなる。


思い出せない、、、、、、。

思い出せないだけなのかな、、、?

本当は思い出したくないから、あたしが勝手に記憶を消したのかな?

もしそうなら、思い出さない方がいいのかな、、、?



あたしはまた、自分から逃げ出そうとしていた。


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