幸せの天秤
自分の大切な人が記憶喪失だと言われて、冷静に受け止められるわけないが。

それでも周りが受け止めなければ、何も変わらない。

彼女が記憶を取り戻すには、彼らの協力は必要不可欠だ。


「記憶を失った本人よりも、辛い思いをするのは周りの方なので、無理強いは出来ません。
ですが、彼女が記憶を取り戻すには周りの協力が必要なのも事実です」

「レ、レンリの記憶は戻るですよね?」(英語)


記憶を失った人間が全員記憶を取り戻せるわけじゃない。

それは人によって違うが、、、、本人に取って、思い出したくない記憶なら尚更時間が掛かる。


「ハッキリと、戻るとは言えません。でも、何かのきっかけで思い出す可能はあります。
彼女とはまた友達になるような気持ちで付き合われてみたら、いいかと」

マリアさんが泣き出す。

「マリア」(英語)

東条さんはそんなマリアさんを慰める。


「彼女との付き合い方に関して、僕は何も言いません。
けど、もしこれからも彼女と付き合い合っていくのなら、ご協力はします」

「レンリに何が起ころうと友達ですから」(英語)

泣いているのに、真っ直ぐにこっちを見て、力強くマリアさんはそう言う。


彼女には、こんなに思ってくれる人がいるんだ。

少しだけ、羨ましく思えた。

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