幸せの天秤
「変な奴」

「変な奴って、答えになってないと思うですけど」

変な奴だなんて、竜崎さんには言われたくない。

むしろ、変なのは竜崎さんの方だと思う。


「バカなのに意地っ張りで、変に頑固で、、、問題児だった」

問題児って、竜崎さんに言われるってことはそうとう周りに迷惑をかけていたのだろうか?

「けど、、、、頑張ってたと思うよ」

「頑張ってた?」

「あぁ。弱い癖に1人で抱え込んで、どうにかしようって。ちゃんと自分と向き合ってた」

あたしのことをこんなに見ていてくれた人がいたのに、
どうしてあたしは竜崎さんのことを覚えていないのだろう。



「ごめんなさい」

「何が?」

「竜崎さんのこと、、、覚えてなくて」

あたしは申し訳ないと思い、謝ったのに笑い出す。

「別にいいんじゃね?無理に思い出さなくても。嫌な思い出なら、ない方がいいと思うし」

「でも、、、」

そのせいで、マリアさん達を傷つけてしまった。


「記憶自体は、レンリのものなんだから、誰かのために思い出す必要なんかねぇよ。
レンリ自身が思い出したいって思ってからでも、いいんじゃねぇ。
東条やマリアなら、来るなって言われても、レンリに会いに来ると思うぜ」

竜崎さんはあたし以上にあたしのことをわかっていて、マリアさんや、東条さんのことも
ちゃんと見ている人なんだ。

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