幸せの天秤
もういい年なんだから、強くならないといけないのに、、、。


まだ、あたしは7年前から少しも成長なんか出来ていない。


でも、あたしは「青山」の名前を捨てたんだ。


「片瀬レンリ」として1人で生きていくしかないんだ。





季節は8月。


こんな時期に中途採用なんて、珍しいのだろう。


受付で配属部署の場所を聞き、深呼吸をして中に入った。


「片瀬さん、待ってたよ」


あたしに気付いた、部長が声を掛けてきた。


部長とは、前の職場の時に何度か仕事をしたこともあり、顔見知りだ。


36歳だというのに、20代後半しか見えない。



「お久しぶりです」


部長のデスクに行き、挨拶をする。



「そんなにかしこまらなくても。君は君らしく、仕事をこなしてくれ」


部長からデスクを教えてもらい、席に着いた。


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