幸せの天秤
でも、知りたい、、、。

「会いたい人がいるんです」

「会いたい人?」

会いたい、、、すごく。


「でも、マリア達には言えない。、、、悲しませてしまうから」

「何か、思い出したの?」

あたしは先生にあおのこと話す。



「そっか。でも、彼に大切な人がいたらどうする?」

あたしはどうするのだろう、、、。


「わからない。、、、、先生、外出許可が欲しい」

先生は悩んだ顔をする。

「許可出してくれなきゃ、ご飯食べない」

「今でも、食べてないだろ」

確かに、、、でも、あたしも譲れない。

「とにかく、お願い。一度、家にも帰りたいし」

先生は諦めたような顔をする。

「時間は守れよ」

「うん!」

「はぁ~。医者としていい判断とは言いがたいがね」

先生はブツブツと何か言っていたが、気にしない。

あたしは外出許可が出たことで、舞い上がっていた。


現実なんて、知らないほうが良いときもある。

目を逸らした今のあたしと、現実と戦ってた昔のあたしはどちらが良かったんだろう。


でも、知りたいと望んでしまったから、、、。

< 209 / 249 >

この作品をシェア

pagetop