幸せの天秤
あたしは実家を出て、近くの市役所に向う。

「すいません。戸籍謄本が欲しいんですけど」

事務の人にそういうと手際よく、戸籍謄本を用意してくれた。

あたしはそれを受け取り、近くにあったベンチに座る。


ゆっくりと深呼吸をして、貰った戸籍謄本は開く。


「、、、本当だったんだ」

戸籍謄本には確かにあたしは結婚していて、離婚もしていた。

相手は、、、あおだった。


だから、尚更わからない、、。

どうして、、、、あたしはあおと結婚までしたのに、別れてしまったのか。


市役所を出て、高校の時に時間潰しに使っていた公園に向う。

あの頃と何も変わっていない。

公園と言っても、滑り台とベンチが2つ、3つあるような場所。

人がいなくて、独りになりたい時や時間つぶしには調度良い。


高校の時にいつものようにここで時間潰ししてたら、
就活中のあおが偶然通りかかってあたしを見つけてくれた。

もしそれがなかったら、あたしとあおが付き合うこともなかったのかな?


だったら、ここに居たらまたあおが見つけてくれる?


あたしは空いているベンチに座る。

市役所で貰った戸籍謄本を鞄から取り出すと、携帯が鞄から落ちる。

携帯を開くと、たくさんの着信があった。

先生と約束した時間は、とっくに過ぎていた。

帰らなきゃいけない、、、。

でも、、、、病院に戻ったら、次にいつ外出許可が貰えるかわからない。



< 213 / 249 >

この作品をシェア

pagetop