幸せの天秤
俺も東条のこと、言えねぇか、、、。

「死んだ人間は確かに戻って来ねぇよ。けど、勝ち目もねぇ」

「勝ち負けじゃねぇだろ。現にマリアの傍に居るのはお前だ」

マリアもちゃんと向き合って、東条と付き合ってる。

少なくとも俺はそう思う。


「今、レンリの傍に居るのはお前だろ」

傍に居るのは俺でも、レンリの中に居るのは青山なんだ。

俺は空になったビール缶を握る潰す。


「東条とは状況が違う」

「あぁ。でも、レンリが全部を思い出した時、あいつ後悔するんじゃねぇか。
レンリは好きなのに、青山と別れた。なのに思い出した時に青山が傍に居たら、、、」

東条が言ってることも一理ある。

でも、レンリが思い出せる補償なんてない。

なら、レンリにとって今が幸せならそれでいいんじゃないか。


結局、俺たちはレンリじゃないからわからない。

レンリにとって何が本当の幸せなのか、、、。


「それでも、、、、あいつが望むなら会わせてやりたい」

「、、、お前、カッコよすぎだよ」

「そりゃ、どうも」

「そこまで、よく好きな女の背中押せるな」

俺からしたら、東条の方が凄い男だよ。

何年も他の男を見てた女を支えて、最後は自分のものにするんだから。

俺だったら、、、、できねぇよ。

好きな女が他の男と幸せになって、「よかったな」なんて言えねぇ。

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