幸せの天秤
あおの傍にいれる。

今のあたしが望んでること、、、。


「やり直せる、、、かな」

「俺たちなら、大丈夫だよ」

あおは優しく抱きしめる。

この腕の中に居たい、、、。


「あお、好きだよ」

「俺の方が、レンリのこと好きだよ」


唇が重なる。

あおからしたら、何年ぶりかのあたしとのキスなのかも知れない。

だけど、あたしにとっては当たり前のキスに感じる。


一緒に居るのが普通のことのように思える。


なのに、あたしはどうしてこの手を離してしまったの?


空白の14年間は、何があたしを変えてしまったのだろう。

愛おしい人を手放して、あたしは何を手に入れましたか?

建築家としてのあたし?

それとも、マリアや東条さんや竜崎さん?




もしもあおを手放した決断が正しい道だったとしても、今は思い出したくない。

この手を手放すくらいなら、何も、、、。



これが間違った記憶のピースだったなんて思わなかった。


< 227 / 249 >

この作品をシェア

pagetop