幸せの天秤
病院を出て家に行くと思っていったら、大きなホテルの所で車は止まった。

「今日、マリアさんや東条さんの作品が並んでるんだ。2人も居ると思うよ」

「え?」

「ちゃんと話してないんだろう?」

退院のことすら、マリア達に伝えていない。


「2人のおかげでもあるし、ちゃんと話した方がいいよ」

あおは車を降りたので、あたしも後をついて行く。

ホテルの中に入り、エレベーターに乗る。

エレベーターを降りると、そこが会場なのか人がたくさんいる。

中に入ると、いろんな作品が並んでいる。


「青山」

知らない男の人があおのことを呼ぶ。

「ごめん、会社の人間だ。適当に見てて」

そう言うと、あおはその人の方へ行ってしまった。

あたしは仕方なく並んでるデザインを一つ、一つ見る。


興味はないが、凄いと思った。

紙に書いてあるデザインを見てもよくわからなかったが、
こうやって模型のように立体的になると、何も知らないのに見入ってしまう。


あたしは一つのデザインのところで足が止まる。

「グランプリ作品 伊藤 哲也」と書かれている。

名前を見ても、人物は浮かばない。

だけど、その場から動けなくなる。

なんで、、、?

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