幸せの天秤
あたしは東条さんにピースサインをする。

東条さんは何をしてるのかわからないようだ。


「あたし、、、告白してきます」

「は!!!?」

東条さんは何か言いたそうな顔をしていたが、あたしは会場を後にする。

「話したいことがある。あの公園で待ってます」と、あおにメールする。

あの公園で、あおはわかってくれただろうか。

でも、あおなら来てくれる。


公園に向う前に、実家に寄る。

玄関にはあの人の靴がある。

ゆっくりと深呼吸をしてリビングに行くと、あの人はチラッとあたしを見る。


「、、、、お母さん」

最後にそう呼んだのはいつだったんだろう。

そんなことも思い出せない。

あの人はあたしを見る。


「何よ、急に」

「あたし、お母さんのこと、、、嫌い」

「あたしだって、あんたのこと嫌いよ」

そんなのこと言われなくても、わかってる。

でも、ちゃんと言いたい。

「、、、、、、産んでくれてありがとう」

産んでくれてありがとう。

この人がどんな理由であたしを産んだのか、そんなことはもうどうでもいい。

それでも、、、、お母さんがあたしを産んでくれなきゃ、ここにあたしはいない。

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