幸せの天秤
大人の恋愛なんて、誤魔化しばっかりだ。

それでも、人は恋に落ちる。

自分の意志なんか、関係なく。




「レンリ、始めるぞ」

立ったままで居たあたしは、部長の言葉で急いで座った。


2人が作ってきた、デザインに目を通す。


コンクールのテーマは「幸せが始まる場所」



「こないだより少しは成長したようだが、これじゃ、審査委員賞の目は引けないな」


部長が感想を言う。



2人が作ってきた作品は、けして悪いものじゃない。

だけどコンクールになると、これくらいならのデザインなら何点も出品されているだろう。


「確かに、グッとくるインパクトが欲しいですね」


「だな。男が思ってる以上に女の方の方が愛にはうるさいからな」


「そんなこと言われたら、俺らには、難し過ぎるじゃないですか」


部長が言った言葉に、桐谷さんが言う。


「お前ら顔良いんだから、女の1人でも居るだろう。
そいつらに「幸せってなんですか」って聞いて来いよな」


確かに、部長が言ったように男より女の方が幸せについて貪欲なのかも知れない。


「レンリちゃんなら、今回のテーマなら何をイメージする?」


桐谷さんがあたしに笑顔で聞いてくる。


ふと、あおと目があった気がした。



「あたしなら、、、結婚式場とかかな」



「結婚すら、興味ないのに。結婚式場なんて全くイメージ出来ねぇ」


あたしの言葉のせいで、桐谷さんは逆に悩みが増えてしまったようだ。



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