幸せの天秤
結婚式場。


あたしが浮かんだのは、マリアのことだった。

マリアの所で働いていた頃、結婚式場のデザインを頼まれたことが合った。



その時マリアは結婚を控えていて、尚更イメージしやすかったのだろう。


マリアの作ったデザインにあたしは心を奪われた。



光の入れ具合で、キラキラと輝くステンドに、
ウエディングドレスの白一層際だたせるデザインに、
心が震えたのは今でも忘れられない。


こんな所で結婚式を挙げたら、一生の思い出に残るだろう。


マリアがデザインした、結婚式場は予約殺到で今でも3年待ちとまで言われている。


あれはマリアが好きな人と一生の思い出を作るために、作ったものだったんだろう。




マリアの結婚はなくなってしまったのだけれど、、、、。


マリアにはその後も式場のデザインが殺到したが、マリアが手掛けたのあの式場だけ。





「アムール&エール」

気が付いたらそんな言葉を言っていた。


「レンリちゃん?アムールなんだって?」



「アムール&エール協会って、建物があるんだよ、桐谷」



あたしの言葉に聞き返す桐谷さんに、部長が言う。


< 28 / 249 >

この作品をシェア

pagetop