幸せの天秤
中途半端な時期に就職できたのは、部長のおかげだ。
アメリカで働いていた事務所の社長のマリアが、
中々辞めることを認めてくれなかった。
そんな時に一緒の仕事をしてた部長の東条正行に
日本で仕事したいなら、うちの会社に来ないかとヘッドハンティングされ、
マリアが「東条がいる会社なら、またレンリと仕事が出来る」と言う理由で
何とか了承してくれて、今に至る。
とりあえず、パソコンの電源を入れる。
メールボックスを開くと、部長からメールが入っていた。
今、部長が携わっている物件の資料で、依頼者の要望など詳しく記載していた。
あたしは依頼者の要望と自分が考えた、イメージを設計していく。
約1時間半で、再現したデータを部長に送った。
部長のOKが出たところで、印刷をする。
印刷し終わった書類を部長のデスクに持って行く。
「相変わらず、仕事が早いな」
「自分の感性で作りだしたものなので、依頼者に満足していただかない事には、何とも」
「そうゆう強かな所も相変わらずだな。片瀬さんにも紹介しておく。おい、桐谷、青山ちょっと」
部長は、2人を呼んだ。