幸せの天秤
アムールは「愛」、エールとは「翼」

マリアが付けた意味は「変わる未来」

結婚式場でイメージするものなんて、「幸せ」や「誓い」


だけどマリアは

「結婚したからって、ずっと幸せで居られるなんて補償ないじゃない?
喧嘩だってすると思うし、辛いときだって、苦しいときだってあると思う。
だけど、そこで後悔ばかりして、逃げ出して欲しくなんかない。
逃げても何も変わらないから。だから、乗り越えて欲しい。
結婚まで決めた相手と居たことが間違いだったって思いたくないから。
だから、いつか辛かったことも、苦しかったことも、「翼」になって
幸せな「未来」に連れて行ってくれるって信じたいから」

と、言っていた。

きっと、結婚するマリアだっただから、
そうであって欲しいって想いと願いがこもっているのだ。


それを聞いたとき、そんな風に全部が全部、
良い思い出に片付けられない、と思った。



「全部が良い思い出なるなんて無理だよ」とあたしが言ったら、


マリアは「レンリが幸せだと思える日が来たら、
きっと辛いことも苦しかったことも笑える日が来るよ」と。






隣にいる部長にも教えてあげたいと思ったけど、人に言われるより、
自分で気付いた方が一番の近道だと思うから、教えてあげない。



「何笑ってんだよ」

あたしは無意識に笑ってたようだ。



「何でもないですよ。ただ、、、、寄り道もいいかなって思っただけです」




「変な奴だな」


少しバカにしたように言われた。




「デザインの練り直してるみたいなんで、あたしは自分の仕事に戻りますね」



「わかった。来週の頭には出来てればいいな」


「最悪水曜日にまで完成すれば間に合いますからね」


「あぁ」



あたしは会議室を出て、部署へと戻り、自分の仕事をした。




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