幸せの天秤
定時になり、次々にみんな上がって行く。


桐谷さんとあおは、定時少し前に部署へと戻って来てから、
黙々もパソコンで形にしているみたい。


あたしは雑用が終わり、やっと自分の書類たちと向き合い始めた。


部長も定時で上がったので、気にせず残業が出来る。


早くこの書類を形にしていきたい。


その気持ちが仕事を捗らせた。



徹夜を覚悟できたのに、12時過ぎた頃には終わった。


そのまま、部長のデスクに置きたいが
この量なので書類がばらけないようにホチキス止めの作業に入る。

その作業も3時頃には終わって、部署を見渡すと、
桐谷さんとあおがまだ残っていた。



相当悩み込んでいるようだ。

あたしは給湯室に行き、2つコーヒーを入れた。




「どうぞ」


最初に桐谷さんのデスクに向かった。


「レンリちゃん、ありがとう」


「少しは進みました?」



「迷路に迷い込んでしまった」



桐谷さんは苦笑いをする。



「煮詰まりすぎても、良いものは出来ないですから。マイペースに頑張って下さい」


あたしはそれだけ言い、あおの席に向かった。


「コーヒー」

桐谷さんの時より緊張しているのが自分でもわかる。


「楽しそうだな、、」

あおの言葉の意味がよくわからない。


「え?」


「何でもねぇ」

あおの態度があたしを拒絶しているように感じた。


「ごめん、邪魔しちゃったよね」

あたしはデスクに戻り、急いで帰り支度をして部署を出た。





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