幸せの天秤
「変ですよね」

日本人の癖にカタカナでレンリなんて、
外人見たいだって、バカにされたこともあった。


「そんなことないよ。俺は好きだけど」

そんなキザな台詞に、ドキドキする。


「レンリちゃんは彼氏とか居るの?」

「い、居ませんよ」

否定しようと、声が大きくなる。


あおはそんなあたしの様子を見て、笑う。


「連絡先教えてよ」


いつもなら戸惑う自分が居るのに、
あおには言われたときはそんなこと思わなかった。

少しでも、あおとの関わりが持てたことが嬉しかった。





その日から、毎日くだらないことで連絡を取り合った。


あおへの想いが恋だって気付くのに時間はかからなかった。


だけど、もしあおに想いを伝えて嫌われるのが嫌で、、、、。


嫌われるくらいならこのままの関係を望んでしまった。




合コンから、数ヶ月経ったある日、高校の同級生から告白をされた。

自分の気持ちを隠し続けていたあたしにとって、
彼の真っ直ぐな目を逸らすことが出来なくて付き合うことにした。


愛するより、愛された方が幸せになれるって、、、誰かが言っていた。

そんな言葉を信じていたわけじゃない。


あたしは母親の時のように、想いを伝えて
あおが離れていくのが怖かったんだ。


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